オコチョ!’s blog

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高校サッカーから世界に羽ばたいた選手特集/乾貴士選手

最近高校サッカーネタを書いているので大会が終わるまではしばらく書いていこうと思っているのですが、試合内容ばかりでもあれなので少しスピンオフ的な内容を書いていきたいお思います。内容的には高校サッカーから羽ばたいていった選手にフォーカルをあてていきたいと思っています。高校サッカーを長年追いかけてますきたからこその情報と私自身もずっとサッカーをしてきたので肌で感じた情報も合わせて発信することができればいいなとおもっています。

 

 

今回は今大会の応援リーダーを努めている乾貴士選手にスポットを当てていきたいと思います。

では早速!

 

乾選手が世に名前を知られるようになったのが今から13年前にあたる第84回大会です。

滋賀県代表の野洲高校として出場し、セクシーフットボールと呼ばれ、並み居る強豪を倒し全国制覇をした年です。

 

その当時の高校サッカーの流れとしては

決勝のカード

第80回 国見VS岐阜工業    国見優勝

第81回 国見VS市立船橋    市立船橋優勝

第82回 国見VS筑陽学園    国見優勝

第83回 鹿児島実業VS市立船橋 鹿児島実業優勝

 

といったように国見をはじめとしたロングボールを多用したフィジカル重視のサッカーをする高校が勝ち進んでいる流れがありました。正直なところトーナメント戦の一発勝負なので第一にリスクを冒さない、負けないといったことが優先されるので仕方のないことなのかもしれません。しかしそのようなサッカーをするには身体的に優れた特性(背が高い、足が速い、体が強い)がないとやっていけません。さらに今と違い戦力の地域格差というものが大きかったので有望選手は名門と呼ばれるところに流れていってしまい、結果として能力の高い選手たちのフィジカルサッカーが主流になり、国見の一強時代になっていたような時代でした。

 

 

そこに彗星のごとく現れたのがW杯でも大活躍した乾貴士擁する野洲高校だったのです。

野洲高校 山本監督の『日本の高校サッカーを変える』という合言葉のもと旋風を巻き起こしました。

当時山本監督はメディアに対してよくこの言葉を多用していました。

今のフィジカルサッカーでは世界に通用しない、日本人の特徴であるテクニック、ドリブルを生かしたクリエイティブなサッカーをし、日本の高校サッカーを変える。

これは捉え方によっては当時の高校サッカーを全否定するくらいの勢いがありました。

しかし、実際に野洲高校の試合を見た人たちはそのプレーに度肝を抜かれることになります。

相手のプレスが来ても動じることなくボールをキープし、ドリブルでかわす。

相手が食いついてきたところをあざ笑うかのごとく、ヒールパスで裏をかく。正確なトラップ、ダイレクトプレーでいとも簡単に相手守備陣を翻弄し、ゴールを奪う。

本当に見ていて飽きない、ビデオでも何回見ても面白い。そう思わせてくれるくらいすごいチームでした。

乾だけでなく、青木孝太、平原研、楠神順平、田中雄大などものすごい選手たちが揃っていました。

中でも当時の10番平原研は抜群のサッカーセンスを持っていました。

テクニックもさることながら『えっ!?そこ出す?』というような意表をついたパスで完全に裏をかくプレーを連発していました。一人だけ見ている世界が違うかと思わせるような感じでした。

惜しくもプロにはなれなかったようですが、センスだけ見れば間違いなくチームNo1だったのではないでしょうか。

 

 

『日本の高校サッカーを変える』というフレーズと野洲高校の華麗なテクニックから名付けられた『セクシーフットボール』というスタイルは実際に試合を見た人、メディアを巻き込み大きな話題になっていきました。

実際にそれだけのインパクトがあった。

そのまま彼らは決勝まで勝ち進み、当時のフィジカルサッカーの代名詞的存在、鹿児島実業との伝説の決勝戦を迎えます。

その年の鹿児島実業は無失点で圧倒的な攻撃力で勝ち上がっており、戦前の予想は完全に鹿児島実業が有利とされてたが、蓋をあけると全く異なる展開となった。

鹿児島実業がプレスをかけ続けるが野洲のテクニックの前にボールが取れないのだ。

むしろそこからパスワークやドリブルで切り崩されていた。そしてセットプレイから野洲高校が先制。

そこからは本当にテクニック対フィジカルという図式の展開がはじまる。

当時面白かったのが、野洲高校と対戦した相手チームが途中からヒールパスやテクニックを披露し始める光景があった。

もともと彼らも中学時代はテクニシャン、エースとして有名だったのだろう。野洲高校のプレーの前に俺もできるぞ!と言わんばかりにテクニックを披露し始めるのだ。

対戦相手のスタイルを変えてしまうほど当時の野洲高校のプレーには影響力があったということだろう。

 

 

試合は後半に鹿児島実業が同点に追いつき、延長戦。

そして延長戦、選手権至上最も美しいと言われるゴールが生まれる。

鹿実の攻撃をカットした田中雄大から平原へ、平原はダイレクトで田中へ戻す。

そこから一気に逆サイドの乾貴士までライナー性のサイドチェンジ。

乾得意のドリブルから相手二人を引きつけてヒールパス(ここで出たーー!!)

走り込んだ平原が前を走るボランチの中川にパス。

中川からのクロスに瀧川が詰めてゴール!!

完璧すぎる!野洲高校の全てが詰まった美しぎるゴールだった。

国立競技場での歓声がものすごく、そして鹿実の応援席に静まり具合もすごかった。

 

 

この一戦は高校サッカーの新しい時代の幕開けにふさわしく、

フィジカル重視の高校サッカーの流れが変えるには十分な試合であった。

この年以降テクニックやポゼッションを重視する高校が対等してくるようになり、群雄割拠の戦国時代と呼ばれるようになったのが一番の変化だっただろう。

しかし13年経った今は流通経済大柏のようなハイプレスを武器とする高校が力を持っている。

流通経済大柏の本田監督も話していたが、

『今はプレスの時代。またこのプレスをかいくぐる技術を持った高校が出てくるとそれは日本サッカー全体のレベルアップにつながる』

そうやって時代の流れとともにサッカーも進化を遂げているのだ。

 

また当時の野洲高校のような今の流れを根本から覆す高校が出てくるのが楽しみならない。

そして乾選手のように世界に羽ばたくプレーヤーが出てくるのが楽しみだ!